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スポーツ解説者と実況アナウンサーは、いわば漫才コンビにおける「相方」のような存在だ。モニターやら、カフやら、放送機材が所狭しと並べられている窮屈な実況解説席に二人で座り、目の前で繰り広げられているアスリートのプレーをじっと凝視する。でも、それと同時にどんな時でも解説者と実況者は視界の隅で、常に必ず互いの横顔を追って、一挙手一投足、息づかい、表情を見ている。相手がどのタイミングで話し出そうとしているのか、プレーのどこに注目していて何を話そうとしているのかを慮りながら連携を図っているからだ。解説者と実況者はこのような間柄だから、私は長年一緒に実況解説席に座ってくださるアナウンサーを、最大限の敬愛を込めて「相方」と呼んでいるのである。
10月5日、そんな私にとってかけがえのない相方である三上大樹アナウンサーが、病により38歳という若さで天国に旅立たれてしまわれた。
三上アナは、テレビ朝日のスポーツ実況者として16年のキャリアを持ち、野球、フィギュアスケート、プロレス、サッカー、バスケットボール、バドミントン、テニス、水泳、フェンシング、体操、アーティスティックスイミング、カーリング、マラソン、駅伝など、実に多くの競技を語ってきた。ほんのわずかな精鋭アナウンサーしか選抜されないというジャパンコンソーシアムの実況者にも選ばれ、2022年の北京冬季五輪や今夏のパリ五輪の中継放送でも活躍された。まさに日本を代表するスポーツ実況者の一人であった。
お人柄は物腰が柔らかくて実直。プロレスラーの棚橋弘至さんも追悼コメントの中で「彼の実況は本当に見たままを素直に、時に怒り、時に興奮しつつというか。本当に人柄が出るような実況だったので。実直さがにじみ出てましたよね」と評するように、三上アナの実況はいつでも競技のフィールドで必死に闘っているアスリートに寄り添ったものであった。そして、競技の展開やアスリートの機微を声にして表すのが実に上手い。
生前、三上アナは自身が実況する時の心情を次のように語っていた。テレビ朝日入社15年目の記念に行われたインタビュー(2023年1月25日)での言葉だ。
近年、特に感じるのは元高校球児として、夢だった甲子園に携わる仕事のとき。若手の頃は 「このプレーのために、どれだけ練習してきたのだろう」 「甲子園でホームラン打つってどんな気持ちだろう」 と羨望と憧れの目で球児たちのプレーを見ていましたが、年齢を重ね、自身も家族を持つと 「このピンチ、お母さん、今どんな気持ちで見守っているんだろう」と親目線で見るようになっていました。これも重なり、涙腺はどんどん緩くなるばかり…。実況に支障が出ています。
自分の目標に向けて、まだまだスピードを緩めず、全力疾走し続けながらまわりと歩幅を合わせて、仲間や取材対象者、視聴者に、少しでも歩み寄れるアナウンサーになっていきたいです。
この三上アナの言葉の通り、彼の実況の根底にあるのは、アスリートに対する「共感の眼差し」だったのではないかと私は思っている。三上アナ自身も高校球児としてエースの背番号「1」を背負ってマウンドに立っていた人だから、アスリートの頃には血の滲むような努力を重ねてこられたはずであるし、当然アナウンサーとしてもプロの話術を磨くために計り知れないほどの時間とエネルギーを費やしてこられたはずだ。
そうした経験をされていたからこそ、三上アナは目の前のプレーをただ表層的に見るのではなく、その裏側にあるはずの途方もないアスリートの努力や、それを支える人々の気持ちにも思いを馳せて実況されていたのだろう。
私と三上アナがコンビを組み始めたのは、ちょうど一年前の秋であった。昨年の10月から12月にかけて連続して開催されたフィギュアスケートのグランプリシリーズという一連の競技会で、初めて共に実況解説席に座った。はじめのうちはコンビ結成直後というだけあって、互いに相手の語り方やスタイルを探りながらの実況解説であったのだが、三上アナが事あるごとに「町田さんはどのように解説したいですか、私の実況に関してやりづらいことがあれば遠慮なく言ってください」と細やかに私のことを慮ってくださったおかげで、わずか3ヶ月ほどの短期間で絶妙なコンビ関係を築くことができた。
個人的にも偶然名前が「大樹」と「樹」であったから、三上アナのことを兄貴分として慕っていたし、何より「この人とずっとフィギュアスケートの実況解説をしたい」と心から思っていた。三上アナが旅立ってからというもの、自分たちの実況解説を何度も反芻しているが、私は三上アナという大きな樹に抱かれていたから自分の思うようにしゃべることができていたのだと、改めて三上アナの懐の深さをしみじみと実感している。
今週から三上アナと共に実況解説する予定であった、テレビ朝日のフィギュアスケート・グランプリシリーズが開幕します。三上アナと共に実況解説席に座れないことが寂しくて仕方ないです。けれども、彼の「共感の眼差し」でスポーツを語る姿勢を新しい相方である大西洋平アナウンサーと共に継承して、今季も熱を込めて解説していきたいと思います。
三上大樹アナウンサー、私とコンビを組んでくださり、ありがとうございました。これから先もずっと、実況解説席に座る私の目には、相方であるあなたの横顔が映り続けていることでしょう――。
2024年10月11日
町田 樹
秋口だというのに、相変わらず猛暑日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
いよいよ大人スケーターのためのスケーティングワークショップ開催まで、10日を切りました。この度は、23日(月・祝)のワークショップにご参加の皆さまに、追加でお知らせしたいことがいくつかございます。
以下、要点を整理しましたので、ワークショップ参加者・見学者の皆さまにつきましては、必ずご一読いただきますようお願いを申し上げます。
[1]フロアワークショップの開催場所変更について
本ワークショップのフロアレッスンは、当初、大阪国際ユースホステルの体育館で行う予定となっておりました。
しかしながら、幸いにもつい先日、大阪府立臨海スポーツセンターの第二体育館(スケートリンクの隣)が急遽使えることになりましたので、フロアレッスンの場所を大阪国際ユールホステルの体育館から臨海スポーツセンターの第二体育館に変更したいと思います。
その他、ワークショップの開始時刻等については一切変更ありませんので、フロアワークショップにご参加される方、あるいは見学される方は15:00までにリンク横の第二体育館にお越しください。
[2]一般滑走割引チケットの販売について
今回、会場となる大阪府立臨海スポーツセンターのご厚意で、ワークショップ参加者・見学者の方限定で23日当日の一般滑走券を割引していただけることになりました。これにより、通常価格1,500円の一般滑走券が、1,200円となります。
スケーティングレッスン終了後、11:30より一般滑走が始まりますが、そこでの滑走をご希望の方は当日受付にて割引滑走券を販売しておりますので、お買い求めください。事前にお申し込み頂いた方は受付時に販売し、事前にお申し込み頂いていない方はワークショップ終了後に販売いたしますので、受付にお越しください。その際、なるべくお釣りがでないよう代金をご用意いただけましたら大変助かります。なお、ご希望の方には割引滑走券の領収書を発行いたします。
[3]イベント中の安全対策について
スケーティングレッスン及びフロアレッスン両方ともに、怪我や事故がないよう細心の注意を払って指導いたします。また本ワークショップでは、イベントの傷害保険にも加入しており、万が一、参加者の怪我や事故が発生してしまった場合には、保険対応する予定です。もちろん、現場での救急処置についても万全の体制を整えておりますことをご報告いたします。
このようにイベント主催者が講じるべき安全対策を練っておりますが、すでにお知らせしております通り、怪我等の発生時には最善の対応をいたしますが、責任は負いかねますことをご承知おきいただきたく存じます。
[4]持ち物および準備する物について
ワークショップ参加者と見学者の皆さんに、当日必ずご持参いただきたい持ち物をお知らせいたします。以下、該当する持ち物リストをご確認ください。
■スケーティングレッスン参加者
- スケート靴
- 練習着(普段、着用されている練習着で大丈夫です)
- 手袋
- 水分補給のための飲み物
■フロアレッスン参加者
- 動きやすく涼しい服
※恐れ入りますが、体育館内に冷房はありません。サーキュレーターを使って空気を循環させますが、暑いと思われますので通気性が良く涼しい格好で受講してください。半袖半ズボンでも構いません。 - 水分補給のための飲み物
- タオル類
- 分厚い靴下もしくはダンスシューズ
※体育館は土足厳禁となっております。お持ちの方はダンスシューズを履いて受講してください。ダンスシューズをお持ちでない方は、汚れたり破れたりしてもよい分厚めの靴下を履いて受講してください。たとえ室内用であったとしても、スニーカーや運動靴ではバレエの動きができませんので、ダンスシューズをお持ちでない方は、靴下で受講していただきますようお願いいたします。
■スケーティングレッスン見学者
- 防寒着
※スケートリンク内は寒いので暖かい服装でご見学ください。
■フロアレッスン見学者
- 涼しい服装
※体育館内はサーキュレーターを使って空気を循環させますが、暑いと思われますので、通気性が良く涼しい格好で受講してください。 - 水分補給のための飲み物
- 任意:室内履(体育館シューズやスリッパ等)、座布団
※申し訳ありませんが、フロアワークショップの会場には見学用の椅子はございません。立ち見か、床に座って見学していただくことになりますことご承知おきください。また体育館内は土足厳禁ですので、靴下か室内履でご入場ください。
[5]新書館によるグッズの物販について
当日は10:00頃から16:00頃まで、ワークショップ会場である臨海スポーツセンターにて、新書館によるAtelier t.e.r.mグッズおよびPas de Troisグッズ等の販売を行います。レッスン等に使えるグッズもありますので、よろしければぜひお買い求めください。
[6]コーチ陣に対する質問事項の受付について
フロアワークショップ終了後、時間の許す限り(17:30まで)、参加者の皆さんの質問にお答えする予定です。つきましては、スケートのことやフロア練習のことでコーチ陣に聞きたいことがありましたら、以下のグーグルフォームより質問事項をご投稿ください。
ご投稿いただきました質問全てに回答できるとは限りませんが、スケーティングやフロアダンスの指導時に役立てたいと思っておりますので、些細なことでもご遠慮なくご投稿ください。
■質問投稿フォーム:
https://forms.gle/DJcAxiNXMsXCJP227
※投稿締め切り:2024年9月22日(日)23:59
[7]台風等による万が一の中止について
本ワークショップを無事に開催できるよう祈っておりますが、万が一、台風等で公共交通機関が止まるような事態になった場合、ワークショップを中止する可能性がございますことをご承知おきください。もちろん、不可抗力あるいはやむを得ない事情によりワークショップを中止する場合は、振り込み手数料を差し引いた参加料金を返金いたします。
近畿地方へ台風が直撃する天気予報が出されるなど、中止の可能性が高まった際には、可能な限り迅速かつ的確に開催可否を判断し、イベント前日の22日(日)夜までに皆様にご連絡いたします。
ワークショップ参加者および見学者の皆さんにお伝えしたい連絡事項は以上となります。
上記についてご質問事項があります方は、以下のメールアドレスにお問い合わせください。
■ワークショップに関する問い合わせ先:
skating.workshop@gmail.com
それでは23日(月・祝)にお会いできますことを心より楽しみにしております。
2024年9月14日
町田 樹
相変わらず酷暑の日々ですが、いかがお過ごしでしょうか。
私は現在、9月23日に大阪府立臨海スポーツセンターにて開催予定の「大人スケーターのためのスケーティングワークショップ」に向けて鋭意準備中です。
さて、この度はエチュードプロジェクトの第二弾のリリースが決定致しましたので、ご報告をさせていただきます。昨年より「誰もが、いつでも、どこでも滑れる」をコンセプトにエチュード作品の創作と公開を行っておりますが、先にお伝えいたしました大阪府立臨海スポーツセンターでのワークショップにて、エチュード作品第二弾を発表することになりました。
今回発表するエチュード作品は、ショパンの「プレリュード第7番」を用いた50秒ほどの小作品です。タイトルは《朝露》(Morning Dew)と命名しました。《朝露》はスケート初心者のための作品で、スケートを習い始めたばかりの方から2級相当のスケーターに滑っていただける内容となっております。来たる9月23日のワークショップで初公開し、参加者の皆さんにも演技していただく予定です。
そして今回なんと、とても光栄なことに、《朝露》の制作にピアニストの福間洸太朗さんにも参画して頂いております。福間さんは、今回のプロジェクトの趣旨をご理解くださり、《朝露》のためにオリジナルの演奏音源を特別にご提供くださいました。福間さんの美しいピアノ演奏とともに、気持ちよく滑れるエチュード作品になっておりますので、ぜひ楽しみにしていただけましたら幸いです。
なお、今回のエチュード作品リリースを前に、福間さんよりメッセージをお寄せいただきました。以下に、《朝露》の作品ライナーノーツと併せて転載しておりますのでで、ぜひご覧ください。
また、大変ありがたいことに、9月23日のワークショップの参加チケットは全て完売いたしました。多くの方々とワークショップを開催することができうれしく思っております。当日は準備万端整えて、参加者の皆様のお越しをコーチ陣一同お待ちしております。
なお、見学チケットに関してはまだ数枚程度残っておりますので、もしご興味がありましたら、以下のフォームからお申し込みください。
■「大人スケーターのためのスケーティングワークショップ」申し込みフォーム:
https://forms.gle/uGmtDxWJc4DQwWeV9
※見学のみ受付可
末筆になりますが、報道によりますとまだ酷暑の日々が続くようです。皆さん、夏バテ等で体調を崩されませんよう、くれぐれもご自愛ください。
私も暑さに負けず、来たるワークショップやその後のフィギュアスケート関連仕事を全うできるよう頑張っていきたいと思います。
2024年8月31日
町田 樹
【エチュード作品第二弾《朝露》の作品情報】
■作品ライナーノート
エチュード第二弾は、フレデリク・ショパンの《24のプレリュード》第7番イ長調を取り上げます。第二作品となる今作は、フィギュアスケートのビギナークラスを対象とするもので、スリーターン、ブラケット、ロッカー、カウンターといった基本的なターンの習得を目的としています。
日本においては今でも、ショパンの「プレリュード第7番」といえば、某胃腸薬のCM曲として有名なのですが、今回はこのイメージを転換するために、《朝露》(Morning Dew)というオリジナルのタイトルをつけて発表いたします。爽やかで静かな朝景色の一隅—— 葉っぱや花に光り、こぼれ落ちる朝露の、しとやかで軽やかな情景を思い起こしたいのです。
それにしてもわずか50秒、16小節という短い曲ですが、聞き込めば聞き込むほど、実に様々な音楽的要素が詰まっている佳品であることに驚かされます。ショパンの自筆楽譜には冒頭にdolce (ドルチェ=甘く、優しく)という指示が書き込まれているそうで、確かに甘く、少し儚い曲想に繋がっています。
そして同時に、四分の三拍子のマズルカでもあると聞くと、はっと、「あ、これは舞踊曲にもなるんだ」と納得されることでしょう。
実際、ショパンのこの小品を愛した20世紀スペイン・カタルーニャの作曲家フェデリコ・モンポウ(1893-1987)は、1937年から20年もかけて《ショパンの主題による変奏曲》を創作しました。英国ロイヤルバレエ団のために構想された曲でしたが、舞台は実現していません。ただこの変奏曲には、たった16小節の原曲から想像を膨らませて、マズルカ、ワルツ、ギャロップ・・・とあらゆる舞踊曲の形式が織り込まれており、それを聴くと、元々のプレリュード第7番の音楽性の豊かさを、改めて実感することもできるのです。
今回、この《朝露》の演奏をご快諾頂いたのは、ピアニスト・福間洸太朗さんです。高い技術と知的感受性を発揮して、世界中で新鮮な演奏活動を展開している福間さんは、フィギュアスケートを最も良く知るピアニストでもあります。今回満を持して協働できることを大変嬉しく思います。
福間さんはこの16小節の演奏法を熟考した上で、贅沢にも何種類もの演奏を私たちに提案してくださいました。それを受けて今回、初心者向けにはフランスサヴォワ地方、ボージュ山脈中の村エコールの教会で演奏した録音(使用ピアノ・ファツォーリ)を、中級者むけにはオランダ・ライデンで演奏された録音(使用ピアノ・シゲルカワイ)に振り付けました。その美しい響きを、ぜひ日本のスケート場でも楽しみながら、練習していただければこんな嬉しいことはありません。
本作のデビューは、本年9月23日に大阪府高石市の臨海スポーツセンターにて開催する「大人スケーターのためのワークショップ」です。その後、YouTubeチャンネル「町田樹のエチュードプロジェクト」においても順次公開してく予定です。また本プロジェクトについては、もう一つ別のサプライズを企画しております。秋頃に発表できる見込みですので、乞うご期待ください。
■福間洸太朗さんからのメッセージ
今回、町田樹さんから「ショパンの前奏曲第7番で、《朝露》というイメージの作品を創りたい」と伺い、爽やかな朝、露の光や僅かな揺らぎなどを音で表現しました。2小節毎の8つのフレーズが、毎回裏拍(3拍子の3拍目)から始まりますが、音の高さ、ハーモニーによってタイミングやニュアンス、1拍目の音に向かってどのように繋げるかを変化させながら弾いています。広大なアイスリンクで音源が流されるという前提ですので、音のダイナミクスの幅はあまり大きくしませんでしたが、最後の2小節は終始感を持たせるため、音が遠のいていくイメージで弾きました。
■作品クレジット
Art Direction(監修):Atelier t.e.r.m
Choreography(振付):Tatsuki Machida(町田樹)
Performance(実演):Tatsuki Machida & Any Skaters
Music(音楽): 24 Préludes , Op.28, No.7
Composer(作曲):Frédéric Chopin
Piano(ピアノ演奏):Kotaro Fukuma(福間洸太朗)
(@大阪府立臨海スポーツセンター)開催のお知らせ
この度、9月23日(月・祝)に、NPO法人関西スケート振興会(臨海スポーツセンター所属フィギュアスケートコーチの先生方)と、関西で大人スケーターを中心に指導されている澤田亜紀コーチとタッグを組んで、「大人スケーターのためのスケーティングワークショップ」を開催いたします。
昨年冬に私の大学時代の先輩である澤田コーチから、「共にワークショップを開催しないか」とのご提案をいただきました。そこからこの企画を温めてきましたが、大西勝敬先生をはじめNPO法人関西スケート振興会に所属する先生方と、同会会長の高林永統さんのご協力を賜り、ようやく満を持して開催できる運びとなりました。
本ワークショップは、初級〜2級程度の資格(あるいは、それに相応する技能)を持つ大人スケーターと学生スケーターを対象とした、スケーティング技術およびプログラム実演能力開発のためのワークショップです。私をはじめ、澤田コーチ、臨海スポーツセンター所属のフィギュアスケートコーチの先生方が、ワークショップ参加者に対して氷上レッスンとフロアレッスンの二つの特別レッスンを提供します。
氷上レッスンでは、参加スケーターのレベルに応じたステップワークの練習を行ったのち、私が振り付けた45秒ほどのエチュード作品を参加スケーターに振り渡します。振り渡しの過程では、よりよく表現するためのコツなどを私のデモンストレーションを交えながらレクチャーし、全員がエチュード作品を滑り切れるよう丁寧にレッスンを行います。なお、本ワークショップにおいて教材として用いるエチュード作品は私の新作振付(後日、詳細を発表)となります。氷上レッスンの最後には、参加スケーターによるエチュード作品のミニ発表会を実施し、講評を行います。
次いで、フロアレッスンでは、私が2020年以来取り組んでいる「フィギュアスケーターのためのバレエ入門」(フィギュアスケーターの表現力向上を企図したバレエレッスン)を応用し、バレエの基礎や身体のコンディショニング方法を学ぶためのレッスンを提供します。このフロアレッスンの参加者としてはまず第一に上記の氷上レッスンに参加するスケーターが想定されておりますが、スケーターでなくてもバレエの超入門スキルを体験したり、ストレッチ法を学びたいという方はどなたでも参加可能です。
以上の氷上レッスンとフロアレッスンを通じて、参加者が楽しくスケーティングや実演能力を育み、なおかつ、一つの作品(エチュード作品)を滑り切る達成感を創造して分かち合うことが、本ワークショップの理念になります。ご興味がある方は、ぜひ奮ってご参加ください。なお、本ワークショップは見学者も受け付けております。参加者枠と見学者枠それぞれに定員がございますので、参加もしくは見学をご希望の方は、お早めにお申し込みください(定員あり先着順)。
7月23日現在、すでに多くの方々にお申し込みいただいており、定員まで残りわずかとなっております。と言いますのも、当初このワークショップは、澤田コーチと臨海スポーツセンター所属コーチに師事する大人スケーターを対象に実施するものとして企画されました。そのため、こうして本ワークショップに関する情報を一般公開する前に、上記に示した対象者には事前にお申し込みいただきました。ただ定員数が対象者数よりも若干多いということと、このような有意義な企画は一般に広く公開したいという我々企画者の思いから、若干数ではございますが、一般申込を受け付ける次第です。なお、見学者枠についてはまだ余裕がございますので(ただし定員はあります)、ぜひ奮ってご参加いただけますと幸いです。
本ワークショップの詳細や申込方法については、以下のリンクよりご確認ください。
■「大人スケーターのためのスケーティングワークショップ」詳細・申込フォーム:
https://forms.gle/uGmtDxWJc4DQwWeV9
私自身初めての氷上ワークショップですが、念願かなってエチュードプロジェクトをYouTube以外の場にて実践に移せることを大変嬉しく思っております。このワークショップで初披露するエチュード作品第二弾も、スペシャルアーティストとのコラボレーションによって制作されるものです。私も氷上にて参加者の皆さんと滑って、この作品の初デモンストレーションを行いたいと思っています。
またフロアレッスンにおいても、バレエのデモンストレーションとしてPas de Troisで上演した作品の中から一作品を実演する予定です。
私にとって選手時代の最後の日々を支えてくれた大阪府立臨海スポーツセンターにて多くの方々と、再びお会いできましたら幸いです。
2024年7月23日
町田 樹
現在、音楽之友社のウェブメディアであるONTOMOでは、フィギュアスケートと著作権の関係について語った、橋本阿友子弁護士(骨董通り法律事務所)と私町田の対談を掲載していただいております。これまでフィギュアスケート業界では、選手やコーチ、振付師などの関係者に対する著作権啓発が行われてきませんでしたので、このONTOMOの記事をきっかけに1人でも多くの業界関係者が音楽著作権に関心を持っていただけたら嬉しく思います。
さて、実はこうして橋本先生との対談記事を連載している最中、なんともタイムリーなことに、米国においてフィギュアスケートと著作権の関係をめぐる大きな出来事がありました。
6月下旬に、米国スケート連盟(U.S. Figure Skating)が「フィギュアスケートの音楽著作権処理に関する方針」(“U.S. Figure Skating Music Policy”)を示したのです。フィギュアスケートの競技連盟が「著作権処理に関する方針」を示すことは、世界的に初めてのことです。
この方針を通じて米国スケート連盟は、米国内のスケーターやコーチ、振付師に対して、プログラムで使用する音楽著作権のクリアランスを、自らで適切に行うように要請しています。
ただ全ての権利処理手続きを選手自らで行うことは極めて難しいため、米国スケート連盟は、米国の大手著作権管理団体であるASCAP(米国作曲家作詞家出版社協会)とBMI(放送音楽協会)の2団体と交渉し、この2団体によって100パーセント管理されている楽曲の包括的利用権を取得したようです。これに伴い、米国スケート連盟に所属する競技者は、同2団体が包括利用権を認めた楽曲を著作権者から直接許可を得ることなく利用できるようになりました。
まだこの方針については、米国スケート連盟に所属するスケーターたちに対して内示されているに過ぎないため、依然として情報が乏しい状況です。しかし、今回の事態の重要性と緊急性に鑑み、現時点(2024年7月7日)で明らかになっている一次情報に基づき、米国スケート連盟が出した方針の要点と、同連盟の方針が今後、全世界のフィギュアスケート界に与え得る影響について、著作権研究者の立場で解説および提言するコラムを執筆しました。
このコラムについては、以下のリンクからアクセスできますので、橋本先生との対談記事と併せてお読みいただけましたら幸いです。フィギュアスケートのみならず、音楽を用いる全てのアーティスティックスポーツに共通する内容となっておりますので、広くスポーツ界や音楽界に届くことを祈っています。
◆町田樹「米国スケート連盟が示した「音楽著作権処理に関する方針」についての解説とフィギュアスケート界への提言」(researchmap):
https://researchmap.jp/blogs/blog_entries/view/556776/4b0cecd4c42acfb15581cae1be3e2fa0?frame_id=1089454
◆「橋本阿友子さん×町田樹さん特別対談#1――フィギュアスケートと音楽著作権の関係を語る!」
『ONTOMO』(ウェブ記事), 音楽之友社, 2024年6月10日
◆「橋本阿友子さん×町田樹さん特別対談#2――フィギュアスケートの振付・音楽演奏と著作権」
『ONTOMO』((ウェブ記事), 音楽之友社, 2024年6月30日
◆「「橋本阿友子さん×町田樹さん特別対談#3――フィギュアスケートの音楽編曲と著作権」
『ONTOMO』(ウェブ記事), 音楽之友社, 2024年7月22日
2024年7月20日
町田 樹
大変遅くなりましたが、4月27日・28日に東京文化会館小ホールで開催いたしました《Pas de Trois――バレエとフィギュアに捧げる舞踊組曲》の公演記録を公開いたしました。当初6月1日の公開予定でしたが、公演記録の作成に時間がかかり、公開が遅れてしまいました。心よりお詫びを申し上げます。
同記録は、この度新たに開設いたしました当ウェブサイトの「バレエ関連プロジェクト」のページにてご覧いただくことができます。以下に、「バレエ関連プロジェクト」ページと公演記録へのアクセスリンクをそれぞれ記載いたしましたので、こちらからアクセスすることも可能です。
公演記録には、主催者である(公財)日本舞台芸術振興会からご提供いただきました公演公式カメラマンである松橋晶子さんの素晴らしい写真も掲載されております。ぜひご覧ください。
■「バレエ関連プロジェクト」ページ:
http://tatsuki-machida.com/art-project/ballet/index.html
■《Pas de Trois 2024》公演記録:
http://tatsuki-machida.com/art-project/ballet/pdf/Pas-de-Trois-2024_Record.pdf
最後に、Pas de Troisの公演にお越しくださった全ての皆さまに、心より感謝を申し上げます。私にとってはバレエダンサーデビューの公演で、(フィギュアスケートの公演は百戦錬磨ですが笑)不安も大きかったのですが、皆さまの温かく情熱的な眼差しに抱かれながら踊ることができましたおかげをもちまして、私たちチームPas de Trois一同が皆さまに届けたいと願った作品と実演を、舞台上にて無事に形にすることができました。この経験を糧に、次なるクリエーションに繋げてまいりたいと思います。
ぜひ上記の公演記録と共に、Pas de Troisの舞台を思い起こしていただけましたら幸いです。
2024年7月8日
町田 樹
プリンスアイスワールド(以降、PIW)公式アンバサダーとして、今季のPIW公演とそれに伴う中夜祭について、お知らせいたします。
いよいよプリンスアイスワールドの新シーズンが27日に開幕いたします。昨年に引き続き演出家・菅野こうめいさん率いる今季のPIWは、「ア・ニュープログレス――ブロードウェイ・ロックス」と題して、ロックジャンルのミュージカルナンバーに挑戦します。昨年よりもチャレンジングなことに取り組んでいきたいと菅野さんがおっしゃっていた通り、ミュージカル・オン・アイスの新しい形が姿を現します。4月27日(土)から5月5日(日)まで上演いたしますのでぜひ、会場であるKOSÉ新横浜スケートセンターにてご覧いただけましたら幸いです。
またアンバサダーとしての私は、5月2日(木)に新横浜プリンスホテルにてプリンスアイスワールドの中夜祭イベントを開催いたします。詳しくは、以下の公式サイトをご覧いただきたいのですが、一次会イベントでは、PIWキャストの吉野晃平さんと小平渓介さんをお招きし、「今季のPIWの魅力」と「フィギュアスケートの振付論」の二つのテーマで鼎談いたします。
また二次会イベントでは、私が出演するバレエ公演Pas de Troisの舞台裏に関するトークとそれにまつわる特典映像を上映する予定です。加えて、昨年9月より私が水面下で挑戦してきたプロジェクトについても特典映像付きでお話ししたいと思います。二次会で上映する映像はいずれもこのイベントでしか公開しないものですので、ご興味のある方はぜひ振るってご参加ください。
それでは5月2日に新横浜プリンスホテルで皆様とお会いできますことを楽しみにしております。
■プリンスアイスワールド2024-2025特設サイト:
https://www.piw-official.com
■プリンスアイスワールド中夜祭イベント公式サイト:
https://www.princehotels.co.jp/shinyokohama/informations/piw2024event/
2024年4月25日
町田 樹
Pas de Troisに参画してくださっている映像作家の加藤清之さん(グランシエルピクチャーズ)より公演のティザー映像第二弾が届きました。
今回は、出演者である私と高岸直樹先生、上野水香さんのインタビューを基調としたティザー動画になっています。これまで加藤さんが私たちの制作過程に密着して撮り溜めてきてくださった映像も用いられており、見応えがあるものに仕上がっておりますので、ぜひ公演前に一度ご覧いただけましたら幸いです。
■ティザー映像第二弾
https://youtu.be/hFNmIWQ-oRs
2024年4月24日
町田 樹
いよいよ舞踊公演《Pas de Trois――バレエとフィギュアに捧げる舞踊組曲》が、二週間後に迫って参りました。私たち演者と制作陣一同、一丸となり公演に向けて鋭意準備を進めております。現時点で、すでに大変素晴らしい舞台になっておりますので、ぜひご期待いただけましたら幸いです。
私自身、2018年にプロスケーターを引退して以降、一度もプロの演者として表舞台には立っておりませんでしたので、久しぶりの表舞台となり、とても感慨深く思います。昨年夏以降、身体づくりをゼロからはじめ、新作を振り付けし、徐々に舞台を形作ってきましたが、本舞台の芸術監督を務めているAtelier t.e.r.mをはじめ、共演者の高岸直樹先生、上野水香さん、そして、主催である日本舞台芸術振興会(NBS)の皆様、パンフレットやグッズ制作、事前取材等でご協力頂いている新書館の皆様、舞台衣装にご協力頂いているチャコットの皆様のおかげをもちまして、舞台完成まであと一歩のところまで歩んでくることができました。あと二週間、最高の舞台にすべく全力を尽くしていきたいと思います。
そして、今回の公演にも参画してくださっているカメラマンの加藤清之さん(グランシエル ピクチャーズ)が、これまで撮り溜めてきた日頃の稽古模様を編集し、ティザー映像第一弾を創作してくださいました。動画概要欄に公演の詳細情報も掲載しておりますので、ぜひ以下のリンクよりご覧ください。
演者・制作陣一同、新緑爽やかな上野にて、皆様のお越しを心よりお待ちしております。
■ティザー映像第一弾《Pas de Trois――バレエとフィギュアに捧げる舞踊組曲》
https://youtu.be/7ljIyNQlNQg
2024年4月12日
町田 樹
NBS(日本舞台芸術振興会)から昨日告知されましたように、初めての舞台公演を演出・振付・出演することになりました。高岸直樹、上野水香という類い稀な踊り手と共に三人で、この舞台を創り上げることを心から光栄に思います。
本公演の監修・構成はAtelier t.e.r.m によっており、テーマは「敬愛と献呈」—— 。
バレエ作品とフィギュア作品が交錯する、新しい試みを目指しています。その上、それぞれの楽曲の演奏が舞踊に最もふさわしいものを選び抜き、録音演奏の魅力を伝統ある音楽ホールで心ゆくまで味わって頂けるよう工夫しました。
舞台演目はすべて、高岸先生と町田による振付で、新たに創作しています。
現在絶賛振付中で、新たな試みに三名ともわくわくしながら準備を進めています。
その模様は随時、新書館の『ダンスマガジン』や『ワールド・フィギュアスケート』でお伝えしますので、楽しみにしていてください。
ちなみにフィギュアスケート作品《継ぐ者》の上演は、プリンスアイスワールドのご厚意により、未公開映像をご覧頂きます。
新緑の萌え立つ春の上野で、皆さまにお会いできますことを、心から楽しみにしております。
2024年2月6日
町田 樹
■公演情報 →詳しくは、https://www.nbs.or.jp/stages/2024/pdt/
作品名:Pas de Trois —— バレエとフィギュアに捧げる舞踊組曲
(NBS〈上野の森バレエホリデー〉参加作品)
公演日:4月27日(土)
1回目 13:45~14:55
2回目 18:30~19:40
*いずれも70分、途中休憩無し
公演場所:東京文化会館小ホール(JR 上野駅公園口すぐ)
主催:公益財団法人日本舞台芸術振興会
特別協力:株式会社新書館
衣裳提供:チャコット株式会社
映像提供:株式会社新書館、プリンスアイスワールド
監修・構成:Atelier t.e.r.m
振 付:高岸直樹、町田樹
演 出:高岸直樹、上野水香、町田樹
出 演:上野水香、町田樹、高岸直樹
■チケット先行販売
NBSクラブ・アッサンブレおよび新書館「ワールド・フィギュアスケート」購入者限定先行販売もあります。
新書館経由の先行販売については、以下のサイトをご覧ください。
新書館先行販売情報:https://www.shinshokan.co.jp/book/b640382.html
■プログラム
I Joie de vivre 生きる歓び
1 《エオリアンハープ》
音楽:フレデリク・ショパン/振付:高岸直樹
上野水香・町田樹・高岸直樹
2 《楽興の時》
音楽:シューベルト=ゴドフスキー編曲/振付:町田樹
上野水香
3 《プレリュード》
音楽:クロード・ビュッシー/振付:高岸直樹
高岸直樹・町田樹
II Fryderyk フレデリク
4 《別れの曲》【フィギュアスケート映像上映】
音楽:フレデリク・ショパン/振付:町田樹
町田樹
5 《ノクターン》(Op.posth.72/1)
音楽:フレデリク・ショパン/振付:高岸直樹
町田樹
6 《ノクターン》(Op.9-2)
音楽:フレデリク・ショパン/振付:町田樹
高岸直樹
III Widmung 献 呈
7 《継ぐ者》【フィギュアスケート映像上映】*未公開映像
音楽:フランツ・シューベルト/振付:町田樹
町田樹
8 《献呈》
音楽:シューマン=リスト編曲/振付:町田樹
上野水香
年明け早々、受け止めきれないほどの厄災に見舞われております。
被災地の方々に心からお見舞い申し上げますと共に、本年の皆さまのご健康とお幸せを心よりお祈りいたします。
私も厳しい時代を胸に刻み、今年も様々な活動に邁進してまいりたいと思います。
さて、新年早々に一つお知らせができることを嬉しく思います。
NBS(日本舞台芸術振興会)からすでに告知がありましたように、今年の4月27日(土)に、生まれて初めての舞踊公演に臨むことになりました。
私のバレエの師匠・高岸直樹先生、およびバレエホリデーで4年にわたって対談をさせて頂いた上野水香さんとユニット(Pas de Trois パ・ド・トロワ)を組み、上野の東京文化会館小ホールにて、舞踊作品《バレエとフィギュアに捧げる舞踊組曲》を上演(計2公演)いたします。
私も実演および作品振付の双方で関わりますので、初めての挑戦にわくわくしております。
詳細は後日発表いたしますが、Atelier t.e.r.m 監修のこの公演《バレエとフィギュアスケートに捧げる舞踊組曲》には、実は色々な仕掛けがあり、GWスタートの新緑の季節に、皆さまにご覧頂くのを楽しみにしております。
何よりも上野水香さんそして高岸直樹さんは、皆さまよくご存じの通り、世界最高の舞台を数多く踏まれた超一流の踊り手です。日本舞台芸術振興会のご支援によって、そうしたお二人とこの舞台を創造する機会を得たことを、私は何よりも光栄に思っております。
お二人との長年の交友に感謝し、なおかつこれまで自分が培ってきた身体技能と振付経験を最大限発揮して、皆さまのご期待に添うような舞台にすべく、頑張って参ります。
なるべく多くの皆さまと上野の春にお会いいたしたく、どうかよろしくお願い申し上げます。
2024年1月9日
町田 樹
■公演情報
作品名:Pas de Trois —— バレエとフィギュアに捧げる舞踊組曲
(NBS〈上野の森バレエホリデー〉参加作品)
公演日:4月27日(土) 開演時間調整中※1日2回公演
公演場所:東京文化会館小ホール(JR 上野駅公園口すぐ)
監修・構成:Atelier t.e.r.m
振 付:高岸直樹、町田樹
演 出:高岸直樹、上野水香、町田樹
音 楽:フレデリク・ショパン
クロード・ドビュッシー
フランツ・シューベルト
ロベルト・シューマン
フランツ・リストより
出 演:上野水香、町田樹、高岸直樹
チケット販売情報:2024年1月下旬発表予定
特別協力:株式会社新書館
衣裳提供:チャコット株式会社