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第16回「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」受賞決定のお知らせ

 この度、大変有り難いことに、第16回「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」を受賞させていただくことになりました。
 本賞は、「哲学エッセイ」を確立した故池田晶子氏を記念し、「一作品ではなく、人に対して」贈ることを前提として、ジャンルを問わず「考える日本語の美しさ、表現者としての姿勢と可能性」を顕彰するものです。同賞を主催するNPO法人「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody」が示している選考基準には、次のような一文があります。

 言葉でしか表せないものを語り、語り得ないものを言葉にしようと努め、試みる人、言葉を信頼しつつ、言葉の在ることを深く疑い続け、あるいは考えることや感じることが、その人の実人生の事実を超えて、言葉と一体化して在る人。語られる言葉の真実をこそ求めようとする、そのように在ることしかできないような、いわば、言葉と討ち死にすることも辞さないとする表現者のあり方こそ、顕彰すべき事態だと我々は考えます。

[同法人HPより]


 このような基準で、選考が行われる賞を賜り、大変光栄であると共に、とても身の引き締まる思いです。
 振り返ると、研究者として言葉を紡ぐことが本職となる以前のフィギュアスケート競技者であった頃から、私は「言葉で表現する」ことに情熱を注いできました。なぜ情熱を燃やすことができたかをいま改めて考えてみると、「言葉」はいつも私自身に、活力とインスピレーションと思考の機会をもたらしてくれるものであるからだと思います。
 競技者であった頃はもちろんのこと、研究者として活動している現在もなお、私の言語表現はまだまだ発展途上です。だからこそ、本賞を大いなる励みとして、言葉による表現の可能性を強く信じ続けながら、さまざまなメディアを通じて言葉を真摯に紡いで参りたいと、決意を新たにしております。
 末筆になりますが、最新著『若きアスリートへの手紙――〈競技する身体〉の哲学』(山と溪谷社、2022年)をはじめ、私の著述活動全般を評価してくださいました同法人及び賞の選考委員の皆様に心より感謝を申し上げます。また、これまで私の活動に対してご指導及びご支援いただきました先生方や出版及び報道関係者の皆様にも、重ねて深く御礼を申し上げます。
 今後も精力的に活動して参りたいと思っておりますので、引き続きご指導ご支援賜りましたら幸いに存じます。何卒よろしくお願い申し上げます。


 以下に、本賞の趣旨や歴代受賞者に関する情報リンクを掲載いたしました。ぜひご覧ください。


■賞の創設者・故池田晶子氏について
https://www.nobody.or.jp/ikeda_akiko/index.html


■(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞について
https://www.nobody.or.jp/shou/index.html


■同賞の歴代受賞者一覧
https://www.nobody.or.jp/jushou/index.html



■町田樹の主な著作一覧
[書籍]
『若きアスリートへの手紙――〈競技する身体〉の哲学』(山と溪谷社、2022年)
『アーティスティックスポーツ研究序説――フィギュアスケートを基軸とする創造と享受の文化論』(白水社、2020年)
 *令和2年度日本体育・スポーツ経営学会 学会賞
 *令和2年度日本知財学会 優秀論文賞(本書第Ⅱ部初出論文)
 *2019年度早稲田大学濱野吉生記念褒賞(本書第Ⅱ部初出論文)
『フィギュアスケートと音楽――さあ、氷上芸術の世界へ』(音楽之友社、2022年)
『そこに音楽がある限り――フィギュアスケーター・町田樹の軌跡』(新書館、2019年)
『町田樹の世界』(新書館、2018年)
『町田樹の地平』(東京ニュース通信社、2018年)

[映像作品]
『町田樹フィギュアスケーターのためのバレエ入門』(新書館、2022年)
『氷上の舞踊芸術――町田樹振付自演フィギュアスケート作品プリンスアイスワールド映像集2013-2018』(新書館、2021年)

[連載]
『毎日新聞』(毎日新聞社)運動面月間連載〈今を生きる、今を書く〉(2020年10月〜現在)
●『ワールド・フィギュアスケート』(新書館)誌上連載〈町田樹セレクション・スペシャルアワード〉(2019年〜現在)

[冠番組]
J SPORTS番組「町田樹のスポーツアカデミア」(2020年9月〜現在)
 *第12回衛星放送協会オリジナル番組アワード文化・教養番組部門最優秀賞
 *第11回衛星放送協会オリジナル番組アワード審査員長賞



2023年 2月 16日
町田 樹

DVD『フィギュアスケーターのためのバレエ入門』リリースのお知らせ

 新年明けましておめでとうございます。
 昨年は皆さまのおかげをもちまして、研究以外にも様々な活動を展開することができました。心より感謝を申し上げます。
 本年もまた様々に活動してまいりたいと思いますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。


 さて、随分とお知らせが遅くなりましたが、昨年10月に新書館よりバレエ教材DVD『フィギュアスケーターのためのバレエ入門』を発売いたしました。
 現代の音楽と共に滑って踊るスケートの原型を形づくったのは、ジャクソン・ヘインズ(Jackson Haines, 1840-1875)というニューヨーク出身のバレエダンサーだと言われているように、フィギュアスケートとバレエは非常に密接な関係にあります。バレエの理論や技術を習得すると、フィギュアスケートのポジションをより美しく見えるように整えることができたり、音楽を表現する方法が格段に広がったりします。
 本DVDは、そのようなフィギュアスケートとバレエの関係性を多角的に考察しながら、バレエの基礎をワークショップ形式で学習していくための教材です。具体的には、「パート1:講義」、「パート2:フロアワークショップ(バレエレッスン)」、「パート3:氷上ワークショップ(スケーティングレッスン)」の合計3つのパートから成り立っていて、フィギュアスケーターが必修すべきバレエの知識やノウハウを、丁寧に順を追って解説します。そしてそもそも、「表現とは何か」についても考察しています。もちろん、このコンテンツは、フィギュアスケーターのためだけではなく、バレエの基礎を学びたいと思われている方々や、「アートと表現の関係」に関心がある方々にもご活用いただけるものとなっていますので、ぜひ多くの方々に手にとっていただけましたら幸いです。


 思えば、私がAtelier t.e.r.mと共に、「フィギュアスケーターのためのバレエ入門」をオンラインにて配信できないか――と最初に発想したのは、コロナ禍が丁度始まった2020年春のことでした。そして、このDVDに収録されているワークショップの内容を撮影したのは、同年夏。そこから特典映像であるフィギュアスケート作品《別れの曲》を撮影するに至るまで、DVD完成まで実に2年を要しました。
 その間、多くの方々よりご尽力を賜りました。以下にご協力くださいました方々のご芳名を記して、感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。誰一人欠けても、このDVDは完成しませんでした。深く深く御礼を申し上げます。


■出演者
瀬尾茜さん
松村成さん
永井優香さん
清野桃葉さん

 4名のスケーター皆さまには、本DVDに収録されているフロアと氷上のワークショップに出演していただきました。わずか一日の間に全てを撮影する過酷な作業でしたが、文字通り真摯に全力を尽くしてくださり、なおかつ素敵な演技(DVDのパート3収録《別れの曲》)までご披露くださいました。皆さんと一緒にワークショップを経験でき、私自身も大変嬉しく思います。心からありがとうございました。


■音楽提供
滝澤志野さん
ツヴィ・エレツさん

 バレエにもフィギュアスケートにも、音楽は欠かせません。今回、ピアニストの滝澤さんとエレツさんのお二方は、本プロジェクトの趣旨にご賛同くださり、快く演奏音源をご提供くださいました。


■スケートリンク提供
プリンスアイスワールド 様

 ワークショップを撮影するために、東大和スケートセンターをお貸しいただきました。また、それだけでなく特典映像《別れの曲》を撮影するために、プリンスアイスワールド2022東京公演の舞台と照明、音響までをも特別にご提供くださいました。おかげをもちまして、照明や音響が整った最善の環境で撮影を行うことができました。洵にありがとうございました。


■バレエシューズ提供
チャコット株式会社 様

 このDVDに収録されているフロアワークショップで使用したバレエシューズは、チャコット株式会社よりご提供いただいたものです。本バレエワークショップにご協力くださり、感謝を申し上げます。


■映像制作(カメラマン、映像作家)
加藤清之さん(グランシェルピクチャーズ)
片井裕介さん
迫慎二さん
西村光平さん
高見澤美栄子さん

 諸事情によりDVD本体には、片井さん、迫さん、西村さん、高見澤さんのお名前をクレジットとして記載することができませんでしたが、ここに記して心より御礼を申し上げます。皆さん、画質、アングル、編集等々、全てにおいてこだわり抜いた映像を制作してくださいました。おかげをもちまして、これ以上ないというほど高いクオリティーの映像作品が仕上がりました。本当にありがとうございました。


■制作・販売
新書館 様

 このDVDの制作総指揮をとってくださったのが新書館の皆さんです。スタジオの準備にはじまり、撮影の段取りや著作権のクリアランス、DVD製品のデザインからブックレットの作成に至るまで、細やかに作業を行ってくださいました。バレエとフィギュアスケートの両文化を長く支えて来られた新書館より本DVDを刊行できましたこと、大変光栄に思っております。このDVDの制作について全面的にご支援くださいましたこと、心より感謝を申し上げます。


 最後になりますが、本DVDの発売記念特別企画として、昨年12月に「超初心者のためのバレエワークショップ」(主催:新書館)を東京と大阪で開催しました。このワークショップは計5回実施いたしましたが、抽選で総勢約150名もの方にご参加いただけました。本DVDでバレエを実践してくださっている方々と共に踊ることができ、この上ない喜びでした。ご参加いただきましたすべての皆さまに、心より感謝を申し上げますと共に、残念ながら抽選にもれてしまった皆さまにも、応募していただきましたことに深く御礼を申し上げます。
 また近い将来、主催者である新書館と共に、第二弾のワークショップを企画したいと考えておりますので、ぜひこのDVDと共にレッスンを行いながら、次回を楽しみにお待ちいただけましたら幸いです。


2023年 1月 1日
町田 樹 @Atelier t.e.r.m


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